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冬になるとニュースで必ず耳にするのが「火災の増加」です。
毎年のように「冬は火事が多いので注意」という呼びかけが行われていますが、実際に、総務省消防庁の統計でも12月〜3月は火災件数が年間で最も多い時期となっています。
では、なぜ冬に火災は増えるのでしょうか?
- 寒いから?
- 暖房器具が原因?
- 乾燥が関係している?
- 人間の行動に問題がある?
火事の発生には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
この記事では、「冬に火災が多い理由」をわかりやすく解説しつつ、
家庭ですぐ実践できる防火策をまとめています。
「知っていれば防げたはずの事故」が身近にあり、読者にも悲劇が起きないように願って書いています。
■ 冬に火災が多くなる理由①「空気が極端に乾燥する」
冬になると湿度が低下し、火が付きやすく、燃え広がりやすい環境が自然と整ってしまいます。
湿度が40%を下回ると静電気が発生しやすくなり、紙・布・木材などの燃えやすい素材は一気に着火しやすくなります。
特に室内は注意が必要です。
● 冬の室内が危険な理由
- 暖房でさらに乾燥する
- 加湿をしないと湿度が20〜30%台になる
- 空気の乾燥に気づきにくい
たとえば、ティッシュや紙ゴミが暖房器具の近くに置かれていると、
わずかな熱や火花で燃え移る危険があります。
「乾燥は火の加速剤」これをまず覚えておきましょう。
■ 冬に火災が多くなる理由②「暖房器具の使用が増える」
冬は暖房器具の使用が一気に増えますが、種類によって火災リスクが大きく異なります。
● 石油ストーブ:最も火災リスクが高い
冬の火災原因トップクラスが石油ストーブです。
- 近くに燃えるものを置く
- 洗濯物を乾かすためにかける
- 灯油の給油時にこぼれる
- 転倒して引火する
特に「衣類乾燥」は非常に危険で、ストーブの熱で衣類の表面温度が上昇 → 発火
という事故は毎年起きています。
● ファンヒーター:吸い込み口のホコリに注意
ホコリがたまると熱がこもり、
異常加熱から発火につながることがあります。
● 電気ストーブ:近づきすぎによる“接触火災”
電気ストーブは火が出ていないから安全、と思われがちですが、
- カーテン
- 服
- 座布団
これらが接触して出火するケースが後を絶ちません。
電気ストーブは「無炎の炎」と思うべきです。
■ 冬に火災が多くなる理由③「年末年始の生活習慣が変わる」
冬場はイベントが増え、生活スタイルが変わることで火災リスクが上がります。
● 帰省・外出が増え、“家が無防備になる”
火を使っている最中にもかかわらず、
- 慌てて外出
- ちょっとゴミ出し
- 集中が途切れる
こうした行動が火事につながりやすい。
● キッチン火災が増える
年末年始は料理の機会が増えます。
- 揚げ物の油
- ガスコンロのつけっぱなし
- 調理中のスマホいじり
- 子どもが近くを走る
油は180℃を超えると発火温度に近づき、
わずか数秒の不注意で炎が上がることがあります。
「料理中の火災」は冬が圧倒的に多いのです。
● 飲酒による“判断力低下”
成人の火災原因として見逃せないポイント。
飲酒すると、
- ストーブを近くに置く
- タバコの火を消し忘れる
- 眠ってしまう
こうした行動が火災につながります。
■ 冬に火災が多くなる理由④「電気の使用量が増える」
冬は、
- こたつ
- 電気毛布
- ホットカーペット
- 加湿器
- ヒーター
- クリスマスイルミネーション
など、電気製品の数が一気に増えます。
結果、コンセントの発熱 → トラッキング火災が起きやすくなります。
● トラッキング火災とは?
コンセントにたまったホコリに湿気が加わり、電気がショートして発火する現象。
特に冬は、
- 加湿器で湿度が局所的に上がる
- 家電が多いためプラグが抜かれにくい
- ホコリが静電気で溜まりやすい
このような理由で危険度が最大になります。
■ 冬の火災に“人的要因”が多い理由
実は、冬の火災の多くは「気温・乾燥」だけでなく「人の行動」が原因で起きています。
冬は
- 寒くて動きたくない
- 用事が増えて慌ただしい
- 帰宅後すぐ暖まりたくて油断する
こうした心理状態になりやすく、火の扱いが雑になりがちです。
つまり冬は「火災が起きやすい環境」+「火災が起きやすい行動」が重なる季節なのです。
■ 今日から家庭でできる「冬の火災予防」
ここからは、実用的な防火策をまとめます。
① 加湿をして湿度40〜60%を保つ
乾燥状況を改善するだけで火災リスクは大きく低下します。
加湿器がない場合は、
- 濡れタオルを干す
- 洗濯物の部屋干し
- 湯気を利用する
こうした工夫でもOKです。
② 暖房器具は「周囲1m以内に何も置かない」
これは消防庁も推奨している基本ルール。
特に布・紙類は厳禁です。
③ キッチンは「その場を離れない」
油火災の多くは、“火のそばを離れたこと”が原因です。
「ピンポンが鳴った」「トイレ」でも離れない。離れる際はまず火を消してから離れましょう。
④ タバコは“完全消火”を確認する
特に冬は布団・ソファが乾燥し、わずかな火種でも発火します。
⑤ コンセントの掃除を月1回する
- ホコリを取る
- プラグを抜いて拭く
- テーブルタップを買い替える(3年以上使用時)
これだけでトラッキング火災を大幅に防げます。
⑥ 暖房器具を寝室で使わない
寝ている間に異常が起きても気づきません。
- 電気毛布の電源を切る
- ストーブは寝室禁止
これは徹底しましょう。
⑦ 家族全員で「火災予防の共通ルール」を作る
家族全員が同じルールを共有していないと、誰かの油断が事故につながります。
例)
- ストーブの前は通らない
- 調理中は必ず誰かがキッチンにいる
- コンセントの位置を毎月確認
■ まとめ:冬の火災は「防げる火事」がほとんど
冬に火災が多くなる理由は、
- 空気が乾燥する
- 暖房器具のトラブルが増える
- 年末年始で生活が慌ただしくなる
- 電気使用量が増える
- 人間の注意力が低下する
この5つの要因が重なるためです。
しかし逆に言えば、これらを理解して対策すれば、冬の火災のほとんどは防げるということでもあります。
この記事が、あなたの家庭の安全を守るきっかけになれば嬉しいです。


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